東京湾の太刀魚釣りで近年大ブームになっているのが「テンヤ」です。イワシを抱かせたテンヤを上下に誘い、独特のアタリを掛けていく――そのゲーム性の高さと、釣りたてを味わう贅沢で、多くの釣り人を虜にしてきました。同じ魚を対象とした釣りでありながら、天秤やジギングとはまた違う、独特の駆け引きが魅力です。
STYLE同じ魚なのに、場所でパターンが変わる ― 東京湾の特殊なスタイル
面白いのは、太刀魚は同じ魚なのに、海域によって効くパターンがまるで違うこと。なかでも東京湾は特殊で、この5〜6年でひとつのスタイルが確立されてきました。基本は、竿を上下に細かく動かして「叩く」ことで、テンヤをひらひらと小刻みに動かし続けること。季節やその日の魚によって最適解は変わりますが、軸になるのはこの動きです。
変数は、叩く幅・叩くスピード・叩く強さ・巻き上げるスピード・止めの入れ方の5つ。これらを組み合わせて、その日の魚に合う動きを探っていきます。これがうまくできないと、よほど活性の高い日でない限り、トップ(竿頭)と裾で釣果に5〜10倍もの差がつくような、奥の深い釣りです。ちなみに、この東京湾のアクションを駿河湾でそのままやっても同じように釣れるわけではない――そこがまた面白いところです。
東京湾でテンヤが一般的になったのは2020〜21年ごろ。当時は本当に特大の太刀魚ばかりが選択的に釣れ、天秤では1メートルほどの魚でも、隣でやっているテンヤは120〜130cm超えが10連発、ということが普通に起こりました。22年以降は大型連発こそ落ち着きましたが、釣りとしての面白さと魚の旨さにやられた人が続出し、人気は爆発。かくいう私も、その一人です。
BAITイワシの付け方が第一歩
テンヤ釣りの基本noキは、なんといってもエサ付け。イワシをまっすぐ、ずれないように固定するのが第一歩です。餌がまっすぐ付いているほど誘いの動きが自然になり、食いが変わります。頭の切断角度、内臓の処理、ワイヤーでていねいに巻き留め――これらの要素が、アタリを出す確率を高める大前提になります。エサが曲がっていると不自然に回転し、太刀魚が見切ってしまいます。また、食いが悪い日は、噛み跡が少しついただけでも当たりがなくなるので餌交換をサボってはいけません。最初は手間でも、ここを丁寧にやることが釣果への一番の近道です。
ACTION叩き誘い ― タナを刻む
指示ダナまで落としたら、独特の叩きを伴う誘い上げを繰り返し、太刀魚に追わせます。反応のあったタナを丁寧に刻むのが数を伸ばすコツ。前述の叩く幅・スピード・強さ・巻き上げスピード・止めを変えながら、その日のパターンを探っていきます。
これが非常に不思議で、隣の名人とまったく同じ動きをさせているようで、結果が何倍も変わったりするのです。毎回とても悔しい思いをするのですが、それこそがこの釣りの魅力であり、ハマってしまう最大の理由でもあります。
TACKLE道具は竿が命 ― 9-1調子の硬い竿
道具で気にすべきは、リールよりも竿です。各メーカーから専用竿が出ていますが、基本となるのは1-9調子の硬い竿。理由はシンプルで、この釣りは竿でテンヤを叩いて動かし続けるため、柔らかい竿だと竿の動きを吸収してしまい、肝心のテンヤが動かないからです。叩きの入力がダイレクトにテンヤへ伝わる、張りのある竿を選びましょう。
TENYAテンヤの号数と色 ― なぜその色なのか
テンヤは40号をメインに、潮の速さや水深に合わせて50号を使い分けるのが基本。色は、チャート系/夜光、ケイムラ系、シルバー系、ゴールド系をとりあえず揃えておけば事足ります。
色の選び方には、自分なりの理由づけがあります。太刀魚は明暗の判別に加えて「緑」を識別できる錐体細胞を持つと科学的に検証されているようで、それを踏まえると――緑といえるチャート、周囲の光に関係なくそれ自体が光る夜光、海中で吸収されにくく届きやすい紫外線を捉えるケイムラ、わずかな光を反射してくれるシルバー・ゴールド、という整理で腹落ちします。東京湾は6月にやる超浅場を除けば、水深20〜30mを超えるとほぼ真っ暗で濁った水。色云々の前にそもそもほぼ見えていません。その前提で、色の差がどこまで効くのかを考えた結果、この4系統に落ち着きました。
HOOK SET前アタリを掛ける ― 焦らず、しっかり
小さな魚が多いシーズンは、コツコツという前アタリが出ても、すぐにアワセず、聞くように追わせます。本アタリで竿に重みがしっかり乗ってから、大きく掛けるのがコツ。一方で、サイズが揃う8月以降は、竿先がポンっと持ち上がる「食い上げ」のアタリが出るので、これはすかさずパシッと合わせます。
掛けた後は、口切れしないようスピードとドラグを調整し、一定のテンションでやり取りします。個人的な方法論は、魚を掛けるまではフルドラグ、掛けたら緩めて、あとは魚の引きに合わせて巻くというやり方。このパターンにしてから、バラシの確率がかなり下がりました。
LEARN上達のコツ ― 竿ではなく「糸」を見て真似る
実際に釣りに行くと、本当に結果に差が出ます。初心者の方にぜひしてほしいのが、近くによく釣る人がいたら、その人を観察すること。ただし、竿の持ち方や動かし方は人それぞれのスタイルがあるので、そこはあまり重要ではありません。見るべきは別のところです。
注目するのは、糸がどのくらいのスピードで巻かれているか、どのタイミングでどれくらい止めているか、どの程度の幅と頻度で叩いているか。そしてこれを観察するとき、見るのは竿ではなく糸です。糸のマーカーが動くペース、たるみと張りの出来かたをよく観察し、その動きから海中のテンヤがどう動いているかを想像します。その想像した動きを真似るのが大事です。
「同じようにやっているはずなのに、なんでこっちは当たりすらないんだ」――この釣りでは、これが本当によく起こります。同じように見えて実は違うから、結果が変わる。再現するにはどうすればいいかを突き詰めた答えが、この“糸を見て真似る”という方法です。どうしても初心者の域から抜けられない人は、ここを意識すると変わってくるはずです。
テンヤ太刀魚は「丁寧なエサ付け」「叩きの誘い(5つの変数)」「糸を見て真似る」が鍵。硬い1-9調子の竿で、その日のパターンを探し当てましょう。
TENYA TACHIUO東京湾の主要テンヤタチウオ船リスト
東京湾でテンヤタチウオを楽しめる主な船宿をエリア別にまとめました。🐧 はペンギンさんのお気に入りです。テンヤ対応・出船状況・予約方法は時期によって変わるため、必ず各船宿の公式サイトで最新情報をご確認ください。
湾奥・浦安エリア
金沢八景エリア
横須賀・新安浦エリア
横須賀・大津/走水エリア
横須賀・鴨居エリア
※テンヤ号数、PE号数、イワシ販売、レンタル、天秤との同船可否などは船宿ごとに異なります。予約前に必ず公式サイトまたは電話でご確認ください。