羽田空港――正式には東京国際空港は、東京湾に面した大田区にあります。多くの人にとっては「飛行機に乗る場所」ですが、海から眺めると、まったく違う表情を見せてくれます。釣り人目線で見る羽田空港は、迫力と発見にあふれた、特別なフィールドなのです。
RUNWAY滑走路脇の大迫力 ― 離着陸を間近に

船で滑走路の脇を通るとき、頭上をかすめるように飛行機が離着陸していきます。轟音とともに巨体が空へ舞い上がり、あるいは滑り込むように降りてくる。陸の展望デッキから見るのとは比べものにならない、圧倒的な臨場感です。釣りの合間にこの光景に出会えるだけでも、羽田周辺に足を運ぶ価値があります。海と空、二つのダイナミズムを同時に味わえる場所は、そう多くありません。
TIDAL FLAT豊かな干潟 ― 潮干狩りでも知られる海

羽田の周辺は、多摩川が注ぎ込む河口部にあたり、栄養豊かな干潟が広がります。こうした環境は多くの生き物を育み、潮干狩りのスポットとしても親しまれてきました。都市のすぐそばに、これだけ生命力に満ちた浅瀬が残っていること自体が、東京湾の懐の深さを物語っています。貝や小さな生き物が豊富な場所には、当然それを狙う魚も集まります。2019年の台風で壊滅的な被害を受けたとされていますが、2024年に往復4キロ歩いて滑走路脇の干潟に降りてみたところ、蛤がたくさん取れました。湾奥の貝は匂いがあるので、食味という点ではお勧めできませんが、大都会でできる自然観察としてはお勧めです。
PILLARS滑走路下の「海に立つ柱」― 絶好の魚礁
羽田空港のD滑走路は、世界的にも珍しい構造で知られています。多摩川の流れを妨げないよう、河口にかかる部分が桟橋(さんばし)構造になっていて、無数の柱(脚)が海の中に立ち、その下を水が流れていくのです。
この「海に立つ柱」が、釣り人にとっては見逃せない存在。柱まわりには潮の流れの変化が生まれ、小魚やエビ・カニが付き、それを狙うシーバス(スズキ)やアジの好ポイントになります。人工の巨大構造物が、結果として豊かな魚礁の役割を果たしている――羽田空港は、土木のスケールと自然の営みが交わる、東京湾でも屈指の面白い場所なのです。船が近づくとアラートがなる仕組みがあるので、周辺で釣りをする時は船の指示とルールに従い釣りを楽しみましょう。
ANGLER’S EYE
飛行機の大迫力、豊かな干潟、そして滑走路を支える柱の魚礁。羽田空港は、釣り人の目で見ると“宝の海”です。
※空港周辺は立入・航行が制限される区域があります。安全とルールを最優先に、船長の指示や各種規制に必ず従ってください。