魚がたくさん釣れたとき、刺身、塩焼き、炙りまで一巡すると、冷蔵庫の前で少し途方に暮れます。そんなときに頼れるのが西京味噌漬けと粕漬け。魚を漬け床に預けておくだけで、数日後の自分がちょっと気の利いた一皿を受け取れます。

TWO MARINADES西京味噌漬けと粕漬け、配合はほぼ同じ
今回は覚えやすさを優先し、主役を200g、酒・みりん・砂糖を全部大さじ2にそろえました。細かな数字を覚えなくても、「200と、全部2」で済みます。釣りの仕掛けよりずっと簡単です。
西京味噌床
| 材料 | 切り身4切れ分 |
|---|---|
| 西京味噌または白味噌 | 200g |
| 日本酒 | 大さじ2 |
| みりん | 大さじ2 |
| 砂糖 | 大さじ2 |
| フリーズドライの柚子皮 | 少々・好みで |
粕床
| 材料 | 切り身4切れ分 |
|---|---|
| 酒粕 | 200g |
| 日本酒 | 大さじ2+調整分 |
| みりん | 大さじ2 |
| 砂糖 | 大さじ2 |
| フリーズドライの柚子皮 | 少々・好みで |
共通で用意するもの
下処理用の塩を少々。柚子皮は好みで入れる香り付けなので、なくても作れます。
西京味噌と白味噌について
厳密には原料や製法、呼び方に違いがありますが、今回はそこまで突き詰めません。スーパーで手に入る甘口の白味噌なら、まずは気軽に作ってみる方針です。塩分や甘さは商品によって違うため、最後は味見で調整します。

PREPARATION魚は軽く塩をして、水分を拭く
サワラ、アジ、タチウオのどれでも、まず切り身に軽く塩を振り、10〜15分ほど置きます。表面に出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭けば下処理は完了。余分な水分と一緒に生臭さを減らし、漬け床が薄まるのも防げます。
切り身が薄いアジやタチウオは塩を控えめに。厚切りのサワラは少し長めに置いても構いません。ただし、漬け床にも塩分があるので、最初から強く塩を当てすぎない方が失敗しにくいです。
SAIKYO MISO西京味噌床は、全部入れて混ぜるだけ
西京味噌200gに、日本酒、みりん、砂糖を各大さじ2。ボウルでよく混ぜ、切り身に塗りやすい硬さになれば完成です。味噌によって硬さが違うので、重すぎると感じたら日本酒を少量ずつ追加します。

砂糖にはザラメを使いました。ただ、ザラメをそのまま味噌や酒粕へ放り込むと、なかなか溶けずに粒のまま残ります。そこで、みりんを少し温め、ザラメをできるだけ溶かしてから加えました。みりん自体にも糖分が多いので「本当に溶けるのか?」と少し心配でしたが、混ぜているうちになんとかなりました。完全に消えなくても、今回は気にしません。家庭料理なので、このくらい適当でいいんです。
ここにフリーズドライの柚子皮を少々。生の柚子を使わなかったのは、保存中に傷みやすそうだったからです。乾燥柚子なら必要なときに少量だけ使えて、香りも十分。台所の隅で柚子をミイラ化させる心配もありません。

SAKE LEES粕床は、酒粕の機嫌を見ながら酒でのばす
酒粕200gにも、日本酒、みりん、砂糖を各大さじ2。問題は、酒粕が商品によって別物のように硬さが違うことです。柔らかい練り粕ならすぐ混ざりますが、板粕や水分の少ない酒粕は、まるでこちらに一切の譲歩をしません。

今回の酒粕はかなりカチカチで、結局、一般的な配合の4倍ほど日本酒を入れてしまいました。追加するなら、日本酒を小鍋で一度温めてアルコール感を和らげ、冷ましてから混ぜる方が扱いやすかったはずです。しかし、気づいたときにはすでにボウルの中。時すでに遅し。料理はときどき、反省まで一緒に仕込みます。
酒は一気に足さない
酒粕は、酒を加えて少し置くと急にほぐれやすくなることがあります。まず大さじ2を混ぜ、まだ硬ければ小さじ1ずつ追加するのがおすすめです。目標は、魚にまとわせても流れ落ちない、少し柔らかい味噌くらいの硬さです。

MARINATE魚を漬けて、冷蔵庫へ
- 切り身の水分を拭く。
軽く塩をして10〜15分置き、出てきた水分をしっかり拭きます。 - 漬け床をまんべんなく塗る。
表裏と側面を覆います。大量に埋める必要はなく、表面が隠れれば十分です。 - 密閉して冷蔵する。
薄い切り身は半日〜1日、厚いサワラは1〜2日を目安にします。塩分の強い味噌なら短めから試します。 - 焼く前に漬け床をぬぐう。
味噌や酒粕が厚く残ると、魚より先に真っ黒になります。キッチンペーパーなどで丁寧に取り除きます。

FISH GUIDEサワラ・アジ・タチウオで変えるところ
| 魚 | 漬け時間の目安 | 作るときのポイント |
|---|---|---|
| サワラ | 1〜2日 | 厚みがあり、味噌にも酒粕にも負けません。脂の強い個体には粕漬け、少し軽い個体には甘い西京味噌漬けもよく合います。 |
| アジ | 半日〜1日 | 身が薄いので漬けすぎ注意。三枚おろしなら半日から様子を見ます。小骨を抜いておくと食べやすくなります。 |
| タチウオ | 半日〜1日 | 薄い切り身は短時間で味が入ります。身が崩れやすいので、漬け床をぬぐうときも焼くときもやさしく扱います。 |
GRILL焼くときだけは、急に慎重になる
西京味噌も酒粕も糖分が多く、とにかく焦げやすいです。グリルなら弱火寄り、フライパンならクッキングシートを敷いて弱めの中火。魚の厚みに応じて中まで火を通し、表面だけ先に色づくときはアルミホイルをかぶせます。
焼き色は欲しい。でも焦げてほしくない。この矛盾を抱えながら、最後だけは魚から目を離さないのが最大のコツです。

TASTING NOTES脂の強い腹身は、意外と味が入りにくい
食べてみて意外だったのが、脂が特に強い腹まわりの部位です。味噌や酒粕の味がしっかり入ると思っていたのに、脂に守られているのか、ほかの部位より味が入りにくく感じました。身そのものは文句なくうまいのですが、漬け魚として見ると少し物足りません。
市販の西京漬けや粕漬けは、脂のある魚にも中まできちんと味が入っています。塩の当て方なのか、漬け床の塩分なのか、漬ける時間なのか。それとも何か別の工程があるのか。どうやってあそこまで味を移しているのか、急に知りたくなりました。
とはいえ、こちらは魚がたくさんあるときに、たまに思い出したように漬ける程度。毎回条件も違うので、なかなか知見がたまりません。それでも、魚の部位や脂の量で味の入り方が変わることだけは分かりました。漬けて焼くだけの料理に見えて、なかなか奥が深そうです。
STORAGE余った漬け床と保存について
生魚に触れた漬け床は、そのまま別の魚へ使い回しません。余った切り身は漬けた状態で長く冷蔵せず、食べる分を残して早めに冷凍すると便利です。1切れずつ包んで冷凍しておけば、「今日は魚を焼くだけで偉い」という日に助けてくれます。
配合は、西京味噌または酒粕200gに、酒・みりん・砂糖を各大さじ2。あとは魚の厚さと漬け床の硬さを見ながら調整します。サワラ、アジ、タチウオと魚が変わっても、基本は同じ。釣れすぎた魚を義務感で食べ切るのではなく、数日後の楽しみに変えてくれる保存食です。
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