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キス / THE FISH

キスとはどんな魚か ― 絶滅した江戸前の「青ギス」と、砂地の女王「白ギス」

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キス THE FISH 2026.06.26

天ぷらでおなじみの「キス」。上品で淡白な白身は、知れば知るほど奥が深い魚です。江戸前では古くから親しまれ、その歴史や呼び名、食文化には、東京湾ならではの物語が詰まっています。まずは「キスとはどんな魚なのか」を見ていきましょう。

EDO江戸前の風物詩 ― 「青ギス」の脚立釣り

かつて東京湾には「アオギス(青ギス)」というキスがたくさんいました。遠浅の干潟に脚立(きゃたつ)を立て、その上に乗って竿を出す「脚立釣り」は、江戸から昭和にかけての東京湾を代表する風物詩。水面にずらりと並ぶ脚立の光景は、まさに江戸前の夏の名物でした。

しかし、埋め立てや水質の悪化によって遠浅の干潟が失われ、アオギスは東京湾では絶滅。現在、私たちが釣り・天ぷらで親しんでいるのは、「シロギス」です。アオギスの脚立釣りは、東京湾が失った豊かさを今に伝える、ひとつの記憶でもあります。

QUEEN「砂地の女王」と呼ばれて

シロギスは、その美しい姿から「砂地(砂浜)の女王」とも呼ばれます。すらりと細く、淡いパールを帯びた上品な魚体。繊細なアタリを掛け、ブルブルと震えるような釣り味も人気で、多くの釣り人を魅了してきました。見た目も釣りも“上品”――まさに女王の名にふさわしい魚です。

TENDANEアナゴと並ぶ、天ぷらの王道ダネ

キスといえば、なんといっても天ぷら。クセのない上品な白身は加熱するとふわりと軽く、江戸前天ぷらではアナゴと並ぶ王道のタネとして愛されてきました。揚げたてを塩や天つゆで頬張れば、淡白ながら確かな甘みが口に広がります。釣りたてを天ぷらにできるのは、釣り人だけの贅沢です。

ECOLOGY食性と暮らし ― 砂の底で何を食べる

キスは、砂底や砂泥底を好んで暮らす魚です。海底の砂の中や表面にいるゴカイ・イソメなどの多毛類や、小型の甲殻類をついばむように食べています。釣りでジャリメやイソメといった虫エサを使うのは、この食性に合わせているから。砂地に群れ、エサを探して移動する習性を知ると、どこを狙えばよいかも見えてきます。

MEMO

かつての東京湾はアオギスの脚立釣りで賑わいました。いま主役のシロギスは「砂地の女王」。アナゴと並ぶ天ぷらダネとして、今も食卓を彩ります。

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